iDeCo(個人型確定拠出年金)は、所得控除(節税)+ 運用益非課税 + 受け取り時の税優遇という 3 段階の税制メリットがあり、老後資金作りの王道ツールです。ただし「月いくら積み立てればいいか」は、 職業によって 上限が大きく異なるのが厄介なポイント。
この記事では、職業別の月額上限を 1 つの早見表にまとめ、所得税率別の年間節税額、 20 代から始めた場合の 35 年運用結果まで、実数値ベースで整理します。
結論(先に答えだけ)
- 会社員(企業年金なし): 月 2.3 万円が上限。給与所得者の主流ケース
- 会社員(企業年金あり): 月 2 万円 / 1.2 万円 / 0 円(DB の有無・厚さで段階的)
- 公務員: 月 1.2 万円が上限
- 自営業(第 1 号被保険者): 月 6.8 万円が上限。最も節税効果が大きい
- 専業主婦・主夫(第 3 号被保険者): 月 2.3 万円が上限。ただし所得控除メリットなし
※ 上限内なら 5,000 円から 1,000 円単位で設定可能。家計に余裕がない年は減額・停止も可能(年 1 回)
職業別の月額上限・年額上限の早見表
| 職業 | 月額上限 | 年額上限 |
|---|---|---|
| 会社員(企業年金なし) | 23,000 円 | 276,000 円 |
| 会社員(企業型 DC のみ) | 20,000 円 | 240,000 円 |
| 会社員(DB あり) | 12,000 円 | 144,000 円 |
| 公務員 | 12,000 円 | 144,000 円 |
| 自営業(第 1 号) | 68,000 円 | 816,000 円 |
| 専業主婦・主夫(第 3 号) | 23,000 円 | 276,000 円 |
※ 自営業の月 6.8 万円は国民年金基金との合算上限。国民年金基金に加入している場合は、 その掛金分を引いた残りが iDeCo の上限になります。
所得税率別の節税効果(年間)
iDeCo の最大の魅力は 掛金全額が所得控除になること。 年収(正確には課税所得)に応じて所得税の限界税率が変わるため、節税額も変わります。 所得税 + 住民税(10%)の合計税率で月額 2.3 万円(年 27.6 万円)を拠出した場合の年間節税額:
| 課税所得 | 所得税率 | 合計税率 | 年 27.6 万円拠出時の節税額 |
|---|---|---|---|
| 195 万円以下 | 5% | 15% | 41,400 円 |
| 195〜330 万円 | 10% | 20% | 55,200 円 |
| 330〜695 万円 | 20% | 30% | 82,800 円 |
| 695〜900 万円 | 23% | 33% | 91,080 円 |
| 900〜1,800 万円 | 33% | 43% | 118,680 円 |
年収 600〜700 万円の会社員(課税所得 330〜400 万円程度)なら、年間 約 8 万円の節税。これが定年まで毎年続くと、節税効果だけで数百万円規模になります。
30 歳から 65 歳まで 35 年積み立てるとどうなる?
年利 4% で月次複利運用した場合(節税効果は別計算):
| 職業 / 月額 | 元本(35 年) | 評価額(年利 4%) | 節税合計(税率 30% 想定) |
|---|---|---|---|
| 公務員 / 月 1.2 万円 | 504 万円 | 約 1,098 万円 | 約 151 万円 |
| 会社員 / 月 2.3 万円 | 966 万円 | 約 2,105 万円 | 約 290 万円 |
| 自営業 / 月 6.8 万円 | 2,856 万円 | 約 6,222 万円 | 約 857 万円 |
自営業の月 6.8 万円ケースは、節税効果だけで 857 万円。 元本 2,856 万円のうち 30% が「税金として国に持っていかれるはずだったお金」を運用に回せた計算です。
iDeCo 加入前に知っておくべき注意点
- 60 歳まで原則引き出せない: 流動性ゼロ。住宅頭金や教育費に使う予定がある資金は別管理に
- 口座管理手数料がかかる: 月 171 円〜が一般的。長期では数万円規模になるので、 手数料の安い金融機関(SBI 証券・楽天証券・マネックス証券など)を選ぶ
- 受け取り時の税金: 一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除を活用。 どちらが得かはシミュレーターで確認推奨
- 専業主婦・主夫は所得控除なし: 所得がゼロなので節税メリットは消えるが、 運用益非課税のメリットは残る。新 NISA との優先度を再考
- 勤務先に確認: 企業型 DC との併用可否、マッチング拠出との相性など
自分のケースで試算する
職業・年齢・年収・希望生活費を入力すると、iDeCo の節税効果込みの最終評価額と、 老後資金がいくら足りない / 余るかを 3 シナリオで自動計算します。 受け取り時の一時金 vs 年金の比較もワンクリックで。
NISA・iDeCo シミュレーターで試算 →関連記事
※ 本記事の節税額・運用結果は概算で、個別の事情(住宅ローン控除・配偶者控除・他の所得控除等)は 考慮していません。所得税率は 2024 年時点の税制を前提に計算しています。 個別の金融商品の推奨ではなく、加入判断はご自身の責任でお願いします。 詳細は税理士・FP にご相談ください。